【たくさんのふしぎ40th】🤔 (1998年5月号)
『手で食べる?』
森枝卓士 文・写真
福音館書店 刊
2005年2月10日 発行
1430円(税込)
40ページ
「食べ方」から食文化を考える
「食べ方」に注目して世界の食文化を考える一冊。日本人は主に箸を使って食事をしますが、食べるものによってはスプーンやナイフ、フォークを使うこともあります。けれども世界にはそれ以外の方法、例えば「手」を使って食事をする人たちもいるのです。お行儀が悪いって?いえいえ、とんでもない。一言で「手で食べる」といってもそこには決まった食べ方があるのです。
本書にはインド料理の先生がカレーの食べ方を教えてくれるページがあります。手を使って食べてはいますが、口の中に手を突っ込んではだめ、指を舐めてはだめ。こうしたことはマナー違反にあたるのですね。先生は食べ方が美しく、食べ終えたお皿も汚さずきれいです。これによって手で食べることに興味を持った方には、本書後半のマレーシアカレーの作り方とお米の炊き方のページをおすすめしますよ。マレーシアも手を使って食べる文化があります。そこのカレーは日本のカレーとはちがい、スープのようにサラサラとしています。お米も日本のものとは種類が違い、パラパラとしていて手でつかんでもくっつくことがありません。こうした食べ物を箸で食べようとしたら場合、掴みづらくて食べにくいと感じるでしょう。手で食べることには理由があるのですね。しかし、慣れない人にとって手で食べることは簡単なことではないようです。ご興味のある方は挑戦してみるのもおもしろいかもしれません。
大昔、まだ道具のなかったころ、人間は手で食べものを食べていました。やがで熱いものや汁気のあるものを食べるためにスプーンが生み出され、箸やナイフ、フォークも地域によって使われるようになったのです。現在はお箸を使って食べる地域、手を使って食べる地域、ナイフとフォークを使って食べる地域と大きく分けて3パターンがあります。しかし、お箸には地域によって長いもの、金属で作られたものなど、様々に種類がありますし、ナイフやフォークも肉を切るもの、魚を切るもの、など用途によって使い分けがなされています。食べ方、使う道具の種類はそれぞれですが、そのすべてに変化を遂げてきた理由があり、それこそが「文化」で優劣はないのだと本書は伝えています。いろいろな国の豊かな食べ方文化を知ることで、先人たちの知恵や工夫に驚かずにはいられません。(ほ)
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