クリーンヒット ⚾ フィクション
『エリーは波にうかぶ』
ジェイミー・サムナー 作
中井はるの 訳
サイトウユウスケ 絵
偕成社 刊
2025年11月 発行
1760円(税込)
255ページ
対象:小学校高学年から

人生が期待どおりにいかないときは、どうすればいい?

読後感の気持ちがよい物語です。
主人公は脳性まひのため車いす生活を送る12歳の少女エリー。プロのお菓子職人になるのが夢で、お菓子づくりの練習をして過ごしていました。
学校の先生をしているママとふたりで、テネシー州ナッシュビルに住んでいましたが、認知症がひどくなったおじいちゃんの手助けをするために期間限定でオクラホマ州の田舎に引っ越すことに。
新しい学校での生活は、すべてがイチからの手探り状態で不安でいっぱいでした。でも、はっきりとものを言うコラリーと、超オタクなバートと友だちになってから、エリーの状況は変わっていきました。そんななか、ママが元の町に戻ろうと言いだしてーー。

本の体裁もほどよく、文字組も読みやすいつくりです。子どもたちにはぜひ、エリーと友だちになってほしいなあ。
障害のあるなしに関わらず、どんな子にも当たり前だけどさまざまな感情の動きがあるってことを再認識できるお話でもあります。エリーの気持ちの動きを丁寧に描いていて、彼女に共感しながら読み進められました。大人への視点はときに、非常に痛快でもあります。
作者は脳性まひをもつ息子の母親でもあるそうで、その実体験が物語に存分に生かされているといえます。エリーとママのやりとりのリアル感は、ヒリヒリするほどだったりします。

ともかく、子どもも大人も関係なく、いろんな人に手にしてほしいと思いました。
挿絵もちょうどよいかんじで、好感がもてます。 (す)

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