【たくさんのふしぎ40th】🤔 (1989年10月号)
『アイヌ ネノアン アイヌ』
萱野茂 文
飯島俊一 絵
福音館書店 刊
1992年10月1日 発行
1430円(税込)
40ページ

北海道の先住民族アイヌの歴史や生活を紹介

タイトルとなっている「アイヌ ネノアン アイヌ」はアイヌ語で「人間らしい人間」という意味です。著者の萱野茂さんは北海道に生まれ、幼いころに祖母の語る昔話(ウウェペケレ)をアイヌ語で聞いて育ちました。この本は萱野さんの幼い頃の思い出と、当時のアイヌの暮らし(衣食住)や自然観などをまとめたものです。そこには厳しい自然の中で山・川・海の恵みを受けつつ、決して自然を痛めつけない形でともに暮らしていた生活の様子が描かれています。

アイヌの人々は自然のものをすべて神として敬い、大切にするだけでなく、家族が生活する家の中にもたくさんの神様がいて自分たちを守っていると考えていました。おもしろいのは、彼らがアイヌ(人)と神は対等だとして、神さまを𠮟りつけたり脅したりすることもあったことです。萱野さんは「生活に役立ってくれるものを、「神さま」と考えたといってもいい」と書いています。これは私たちが考える神と人との関係とは少し異なりますが、だからこそアイヌの人たちは山菜もサケも根こそぎ取り尽くすようなことはせず、折々その恵みを神々に感謝して酒やイナウを捧げてきたのです。

また、この本にはアイヌの昔話が2話収められています(「スズメの恩がえし」「二つ頭のクマ」)。どちらも、アイヌの人々の考える人と自然と神の関係がよくわかり、また一見すると力の弱いものが優れた存在であることを示すユニークな物語です。萱野さんがおばあさんの昔語りを楽しんだように、アイヌの文化の一端をどうぞ昔話を通して味わってください。(か)

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