クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『シロくんとパレスチナの猫』
髙橋美香 文・写真
かもがわ出版 刊
2025年12月 発行
1980円(税込)
42ページ
対象:小学校高学年以上

猫たちの姿をとおして、パレスチナの人たちが置かれ続けている占領の現実を伝える写真絵本

写真家の高橋美香さんは長くパレスチナに通い、時に難民キャンプで暮らす一家と生活を共にしながら、占領下の日常を伝え続けています。ニュースにはほとんどならないけれど、ガザの人たちと同じように命の危険にさらされ、生活が成り立たない状況に置かれ続けているヨルダン川西岸地区の人たちの現実を、高橋さんの飼い猫・シロが語る形をとって伝えているのが本書です。

パレスチナの歴史と占領の状況について知識のある人や、髙橋さんの著作をこれまでに読んだことのある大人は、シロの言葉の背景にあるものをある程度理解することができます。ここで断片的に語られていること(いないことも)の行間を埋めるには、読者の側にそれなりの知識が必要です。しかし、この本を何も知らない子どもたちが見るとしたら、がれきの中を歩く猫を見て何を思うのか。家の前の焚火で暖をとっていただけの住人が理由もなくドローンで攻撃され爆殺されるという不条理で、突然に飼い主を失った猫が、亡くなった主人をいつまでも探し続けるという悲劇をどう受け止めるのか。大人は子どもの読者に寄り添い、子どもたちの頭に浮かぶであろうたくさんの「なぜ」を一緒に考えなくてはならないでしょう。

人の命が大切にされないところで、それより小さな命が守られるはずがありません。パレスチナの猫たちがどれほど困難な環境下で生きているかを想像し、それでも猫たちに愛情を注ぎ、食べ物や居場所を与えようとする人々の心を思いやると、一刻も早くここに暮らすすべての命が安心して生きられるようにならなくてはと思います。そのためにあなたにできることを考えて―—と、この本は伝えているのではないでしょうか。(か)

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