【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2016年3月号)
『家をせおってあるく かんぜん版』
村上慧 作
福音館書店 刊
2019年3月10日 発行
1430円(税込)
48ページ

住む場所は自由。家の新しいかたちは、これ!

皆さんはどんな家に住んでいますか? 一軒家でも集合住宅でも、いずれにしても家は動かず、住人である私たちがそこから出たり戻っていったりする場所というのが一般的な認識だと思います。ですから、このタイトルを見たときに頭の中に大量の疑問符が浮かぶのも当然で、「家って背負って歩けるものなの?!」と、まずは事の真偽を確かめたくてページを開いてしまうに違いありません。開けてびっくり! 著者は本当に家を背負って日本各地を(それどころか海外にまで)旅をした、本書はその記録なのです。

1988年生まれのアーティスト村上慧さんは、2014年4月から1年間、自作した発泡スチロールの家を使って生活しました。軽くて断熱効果もある家は高さ150㎝、長さ120㎝、幅80㎝で、制作費は約2万円。人ひとりが寝るのには少々窮屈な感じもしますが、ドアも窓も屋根もある立派な家です。この中に入って担ぎながら寝る場所=家を据える場所を探して歩き回ります(公園や道路に勝手に家を置くことはできないため)。寝る土地(寝室)を確保した後は町全体を大きな家と考え、トイレ(公衆トイレやコンビニ)やお風呂場(銭湯)を探していくのですが、「お風呂場は電車で20分の隣駅」というような想像を絶する壮大な間取り図に、驚きと笑いがこみあげてきます。家を背負って歩く道のりは思いがけない出会いの連続で、暮らしというのは本来様々な人とのつながりで成り立っているのだということが、このちょっと極端な実験から見えてきます。

変わらないと思っていることや、当たり前すぎて疑ったこともないことも、少し見方を変えることで実は「変えられるもの」だったことが発見できる――読んでいるうちに、段々気持ちが明るくなってくる作品です。(か)

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