【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2012年11月号)
『かしこい単細胞 粘菌』
中垣俊之 文
斉藤俊行 絵
福音館書店 刊
2015年9月5日 発行
1430円(税込)
40ページ

単細胞生物粘菌の生態を探る

「粘菌」という生物をご存知ですか?粘菌は私たちとはつくりが異なる単細胞生物です。私たちの体はたくさんの細胞が集まってできています。それに対して単細胞生物には細胞が1つしかありません。細胞1つはとても小さいので粘菌を視認することはできませんが、枯れ葉や木の陰など私たちの身近でひっそりと生きているのだそうです。著者の中垣俊之さんは粘菌の研究をしており、その研究によってイグ・ノーベル賞を2度受賞しました。私たちにとってなじみのない得体のしれない生物ですが、本書は著者の素人に寄り添った説明と斉藤俊行さんによる緻密かつシンプルなイラストによって、粘菌の奥深い生態が子どもにも理解できる良書です。

細胞が1つしかない粘菌には脳がなく、そのため「考える」ことはないと思われてきました。しかし、著者は様々な実験を経て、粘菌は「かしこくないとはいえない」と思うようになったそうです。本書にはその様々な実験が記されており、その結果は思わずうなってしまうものばかり。例えば、表紙の迷路の絵。これは実験途中の様子ですが、2か所に置かれた食べものを繋ぐ最短のルートを粘菌は見事に見つけ出します。また、粘菌には時間の感覚もあるようです。快適な環境を整えれば元気に前進し、不快な環境にすればその進みを止める習性を利用した実験では、規則的に環境が変化する、その変化のタイミングを記憶した粘菌が、次にくるであろう不快な環境に備えて進みを止めたのです。脳はなくとも私たちとは違う方法で粘菌は考えているのでしょうか。では「考える」とは、「知性」とは一体何なのでしょうか?そんなことを考えてしまいます。

そしてもう1つおもしろいのは、粘菌にも好みがあるということ。彼らには食べ物や匂いの好き嫌いがあり、バニラの香りやお酒の匂いは好まないそうです。好きな食べ物はオートミールですが、その中でも好みがあり、著者がいろいろと試した結果、無農薬・有機栽培の麦粒そのままのものを一番好むのだそう!結構グルメです…。そんなことを知っていくと何だかかわいくも思えてきます。粘菌って不思議な生きものです。(ほ)

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