
【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2001年6月号)
『ここにも、こけが…』
越智典子 文
伊沢正名 写真
福音館書店 刊
2010年5月20日 発行
1430円(税込)
40ページ
道ばたの「こけ」にご注目
アスファルトの隙間や街路樹の脇にひっそりと生えているこけ。街を歩いていて目を留めることはめったにありません。しかしこけをじっくりと観察してみると、葉が細いもの、丸いもの、背の高いもの、低いもの、様々な種類があることがわかります。暗い洞窟の中にも、水中にも、光が差し込む場所が少しでもあればこけは存在します。森へ行くとさらにたくさんのこけが岩や木々を覆っていて、まるで森全体を覆いつくしているかのような幻想的な光景を目にすることもあります。本書はそんなこけの世界を美しい写真で堪能できます。
写真をながめていると、何かがこけからにょきにょきとのびている状態に出会います。これは蒴といって、中には胞子が詰まっています。こけの種類によって丸い蒴、螺旋状の蒴、帽子をかぶった蒴など種類は様々です。写真でみるとそれぞれが特徴的で、とてもおもしろいですよ。胞子をより遠くへ飛ばせば遠くに子孫を残せるので、こけは様々に工夫を凝らしているのです。準備の整ったある晴れた日に、蒴はパチンとはじけます。行先は風まかせ。ちょうどいい温度と湿り気で胞子は芽を出します。芽吹いたこけは、光合成と雨などの水を全身で吸収することで水分と養分を吸収します。根っこはありますが、根から土の養分を吸収することはありません。では雨が何日も降らない日が続いたら?大丈夫、朝露から水分を吸収します。こけの葉は細くとがったものや、葉の表面がギザギザしているものが多く、朝露はそうしたとがったものの先につきやすいのです。
こけの祖先はおよそ4億2千万年前に生まれたといわれています。それ以来、他の植物が生きられないような厳しい環境の中でも生き残り、複雑な進化を遂げることなく今日まで続いています。改めて注目してみると不思議な生きものですが、まだまだわかっていないことは多いそうです。今まで気にもとめていなかったこけですが、本書を読むと街中を歩く時に足元のこけをじっくり眺めたいという思いが沸きあがります。(ほ)
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