【たくさんのふしぎ40th】🤔(2011年8月号)
『アカオニグモと草むらの虫たち まちぼうけの生態学』
遠藤知二 文
岡本よしろう 絵
福音館書店 刊
2023年6月5日 発行
1430円(税込)
40ページ

身を守りながら狩りをする虫ーーアカオニグモの攻防戦

生態学を研究している遠藤さんは、あるとき息をのむほど見事な狩りをするクモと出会い、衝撃を受けました。
そのクモの名は、アカオニグモ。北海道や本州、四国、九州の高地に分布していて、主に草原にすんでいます。その大きな特徴は「身を守りながら狩りをする」こと。

どのように身を守るか、その秘密はアカオニグモの網のつくりに隠されています。
驚いたのは、たて糸、よこ糸、シグナル糸という3つの糸にそれぞれに役割があること。
たて糸は、網の中心から外側へむけはられた糸です。たて糸にはねばる物質がついていないので、クモはたて糸を使って移動します。
よこ糸は、網の中心から円をえがくようにはられていて、糸につけられたねばる物質が、虫を網にとらえます。
シグナル糸は、網の中心から隠れ場所にはられた糸。網に虫がかかった振動を隠れ場所にいるクモに伝えます。隠れ場所は網のはしにあり、葉を上手に使って身をひそめ、鳥やハチといった天敵から身をかくすことができるのです。

この巧妙な作戦によって、狩りをしているアカオニグモ。しかし、いつもうまくいくとは限りません。 本書では、虫を捕えたいクモと、逃れようとする虫たちの攻防戦が描かれていて、まるで目の前で見ているかのような臨場感があり、ドキドキします。網にかかったテントウムシ、ヒラタアブ、カメムシの運命はーー。劇的な展開を、お見逃しなく。

遠藤さんは、アカオニグモの網のまわりを飛んだ虫を、合計4678匹、時間にして63時間20分観察した結果を表にまとめています。
観察した4678匹のうち網にかかったのは何匹だったのか、網から逃げられた虫は何匹で、何匹の狩りに成功したのか?表を見ていると、新たな発見が得られそうです。

最も読みごたえがあったのは、アカオニグモの天敵であるキスジベッコウとの戦いでした。
天敵を見つけたクモは、隠れ場所に隠れる選択をせず、あえて網のまん中にとびだし、キスジベッコウにたちむかったのです。それはどうしてか、そしてその対決の行方はーー?
さらに、観察を始めてから5年が経過したとき、著者は驚くべき光景を目にしたのですが、その内容に、まるでドラマを見ているかのような衝撃を受けました。
あなたも、身を守りながら狩りをする虫の生き方を、のぞいてみませんか?(み)

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