【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2021年7月号)
『釣って食べて調べる深海魚』
平坂寛 文
キッチンミノル 写真
長嶋祐成 絵
福音館書店 刊
2024年5月5日 発行
1430円(税込)
40ページ

深海魚のおいしさの秘密がわかる

表紙には巨大な目玉に大きな口を開けた赤い魚や、不気味な緑色の眼をしたサメ、鉄のように金属光沢のある黒い魚など、ぎょっとするような姿の魚が並んでいます。これが私たちの食卓にも上る(ことのある)深海魚たちの生きた姿です。え?深海魚って食べるの?と思った方もいると思いますが、実は私たちは日頃から、結構普通に深海魚を食べているのです。深海に行かなければ会えないと思いきや、ナント深海魚は魚市場にもいっぱいいて、キンメダイ、アカムツ、ズワイガニ、アンコウ……これらはみんな深海魚なんです。

深海魚とは「深海にすむ魚」の総称です。深海とは海面下200メートル以上(都庁のタワーくらい)の深さを指し、そこは太陽の光も届かない暗闇の世界——光合成で育つ海藻はもちろん、エサとなる生物も少ないため、生きるには厳しい環境です。しかしそれゆえにライバルや敵も少ないという利点もあり、魚たちは自らの体の機能を深海に適応させて生き延びてきました。

例えば高級魚としてもしられるアカムツ(別名ノドグロ)は、その名の通り口の中が墨汁を飲んだように真っ黒です。なぜか? それはエサとなる深海生物(サクラエビやホタルイカなど)には光る性質を持っているものが多いので、お腹の中で光ってしまうと自分が敵にみつかってしまう危険があるため、遮光の目的で黒くなっているのだとか。
また、深海魚に脂がのっていて美味な魚が多いのは、水の中で自由に泳ぐために必要なうきぶくろ(普通は空気が詰まっている)の代わりに、筋肉に脂を蓄えているためだそうです。空気は圧力の大きい深海ではつぶれてしまうので、うきぶくろは最小限にして、水より軽い脂分を筋肉に備えて活動のエネルギーにするとは、本当によくできたものだと感心してしまいます。
もちろん、おいしくない深海魚もいるのですが、それにはそれで理由があり、深海と深海魚の世界の豊かさがそのことからも感じられました。

3人の著者の魚愛に満ち満ちた記述やイラストからは、きっと初めに深海魚を食べてみた人たちもこの著者のように好奇心旺盛で、恐れを知らず食してみた人たちだった方だろうと想像されます。深海魚の研究を「宝探し」に例える彼らは、あくなき好奇心で未知の深海魚を発見するかもしれない――そんな期待を抱かせてくれる本です。(か)

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