
ベスト 👍 ノンフィクション
『春をよろこぶ みんなで踊る 世界でくらすクルドの人たち』
金井真紀 文・絵
福音館書店 刊
2026年3月 発行(月刊たくさんのふしぎ 2026年3月号)
810円(税込)
40ページ
対象:小学校中学年から
ネウロズと美しいクルドのドレスを中心にクルドの文化の魅力を紹介
「国を持たない最大の民族」と言われるクルドの人たちは、世界中に3000万人以上暮らしています。日本にも埼玉県に多くのクルドの人たちが住む地域があり、そこでは春分の日に「ネウロズ(新しい日)」と呼ばれるお祭りを開いています。この日はクルド人にとっての元日で、ここから新しい1年が始まるのです。
お祭りに集う女性たちは皆、色とりどりの美しいクルドのドレスを身にまとい、男の人も女の人も手を繋いで丸く輪になって踊ります。ネウロズのお祭りで親しくなったロナさんの家に遊びに行って、おいしいクルド料理を堪能した金井さんは、ますますクルドの人たちのことが知りたくなり、世界に散らばるクルドの人たちとネウロズのお祭りを訪ねて旅に出ることにしました。
イラン、イラク、カナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツ……それぞれの国で、それぞれのやり方で、クルドの人たちは新年を祝い踊っていました。ネウロズを祝うことはクルド人としてのアイデンティティを確認することでもあり、人々にとって誇らしく嬉しい日であることが感じられます。週に1度集まって踊りを練習するイランのホセインさんも、クルドの伝統を守りながら美しい刺繍のドレスを作るイランのハワールさんも、トルコにいた時はクルドのドレスを着たことがなかった(けれど今は10着もドレスをもっている!)というドイツに住むズベイダさんも、みなネウロズのお祭りのことになると熱く、キラキラと語るのです。そうやって日本からやって来た金井さんのことを「ご飯を食べにおいで」「泊りにおいで」「ドレス着てみる?」と温かく迎え入れ、踊りの輪の中に迎えてくれました。
世界中にネットワークを持ち、自分のルーツを大切にしながら暮らしているクルドの人たちですが、どの国でもマイノリティーであることは違いがありません。社会の少数者であることは、生きにくいことでもあるはずです。「多様性を面白がること」を自らの任務とし、お祭りへの興味から世界で暮らすクルドの人たちを訪ね歩いた金井さんの「私が出会った友人たちの物語」という視点は、どんな時も一対一で向き合うことの大切さを教えてくれます。「外国人問題」という言葉が度々聞かれる私たちの社会においても、一人一人が心にとめておきたい姿勢ではないでしょうか。この明るく楽しい旅行記から、パワフルで色鮮やかなクルドのお祭りに興味をもち、ちょっと覗いてみたいな~と思う人が多く生まれることを願っています。(か)
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