ベスト 👍 ノンフィクション
『生きる言葉』
俵万智 著
新潮社 刊
2025年4月20日 発行
1034円(税込)
235ページ
対象:大人
言葉の力は生きる力ーー現場で考え抜いた伝える、鍛える、表す極意
1987年『サラダ記念日』(河出書房新社)で鮮烈デビューされた歌人の俵万智による言葉についてのエッセイ。とにかく読みやすい文章で、あっという間に読み終えてしまいました。あまりにサラサラ読めるので、近いうちに再読しなくちゃと思っています(笑)。
1「コミュ力」という教科書はない、2ダイアローグとモノローグ、3気分のアガる表現、4言葉が拒まれるとき、5言い切りは優しくないのか、6子どもの真っすぐな問いに答える、7恋する心の言語化、読者への意識、8言葉がどう伝わるかを目撃するとき、9和歌ならではの凝縮力と喚起力、10そこに「心」の種はあるか、11言葉は疑うに値する、の章立て。各章の終わりにはコラムもあり、さまざまな角度から「言葉」について言及しています。
って、小難しいことを論じているわけではなく、身近なところに転がっている言葉にまつわるわれやこれを綴っていて、まずは楽しく読めます。その楽しさのなかに問題提起があったり、普段「?」と思っているようなことを言語化してくれているってかんじ。
スマホやネットなどで見知らぬ人との言葉のやりとりをする機会が格段に増えている昨今です。これって便利なようで案外やっかいなこともはらんでいます。あなたも1回や2回(いや、もっと?)トラブルまでいかなくても面倒なことに遭遇したことはあるはず。それについて「はじめに」で著者は触れています。誰もがなるほど、と思うのではないかな(なんて言っているかは、本書を読んでね)。
ドラマや歌会(それもホストとの!)、ラップやAIやSNSなどでの言葉の使い方について考察しています。どの話題も具体的なので、イメージしやすい。ラップについての部分は、とてもおもしろかった! 短歌とラップが同じラインに並ぶなんて考えもしませんでした~。著者の興味の広さに感服!
言葉なしの暮らしなんてありえないですから、誰もが普段使っているこの言葉について考えてみるよいきっかけになるでしょう。
あ、絵本とのかかわりについても触れています! (す)
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