
クリーンヒット⚾ 絵本
 『マイロのスケッチブック』
 マット・デ・ラ・ペーニャ 作
 クリスチャン・ロビンソン 絵
 石津ちひろ 訳
 鈴木出版 刊
 2021年10月28日 発行
 定価1650円(税込)
 39ページ
 対象:幼児から
小さな男の子マイロの想像したものは?
毎月、最初の日曜日にマイロはおねえちゃんと一緒に地下鉄に乗って出かけます。いつも不安で胸がいっぱいになり、緊張してしまいます。同時にものすごくワクワクもするのでした。マイロはそんな気分を紛らわすためにスケッチブックにまわりの人の生活を想像して絵を描きます。描いた絵をおねえちゃんに見せようとしますが、振り向くだけでおねえちゃんは絵を見ません。たぶん、おねえちゃんも緊張しているのでしょう。
地下鉄の窓に映った自分の顔を見て、他人はどう思うのかな、とも想像するマイロ。
…マイロとおねえちゃんが訪れたのは、刑務所でした。お母さんと面会するために毎月、出かけていたことがわかりますが、なぜそにいるのかは描かれてはいません。ただ面会する場面のマイロの様子(お母さんも!)はとてもリラックスしていてよい表情で描かれます。
 最後の展開に少し驚きましたが、まっすぐにものごとを受け入れるマイロの姿が愛らしく感じました。
 彼の家族に幸福が訪れますように、と願ってページを閉じました。うまく言葉にならない思いがいっぱい詰まっている絵本です。
 同じようなテーマで日本の作家が描くと、たぶんこの絵本のような素朴さはないだろうとも思いました。この素朴さが読者の気持ちをほっこりさせてくれる良さではないでしょうか。 (す)
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