ベスト👍 絵本
『バレエ団のねこピンキー』
ノエル・ストレトフィールド 作
スザンヌ・スーバ 絵
田中潤子 訳
のら書店
2023年3月 発行
定価1540円（税込）
24ページ
対象：幼児から
バレエがだいすきなねこ、ピンキーのおはなし！
美しいものが大好きな黒ねこのピンキー。劇場で雇われているピンキーの仕事はネズミを捕まえることなのですが、実はネズミが苦手なピンキーはこの仕事に関してはまったくの役立たずでした。それでもピンキーが劇場にいたかったのは、何よりバレエを愛していたから――。ところがある日、リハーサル中の舞台をネズミが駆け抜け、驚いた主役のバレリーナが転倒してけがをするという事故が起こります。堪忍袋の緒が切れた支配人はついにピンキーにクビを言い渡しますが……。
猫だからといってみんな、ネズミ捕りが得意なわけではありません。でも臆病で役立たずと思われていたピンキーは、ピンキーでなければできないことでバレエ団と一人の少女を救うことになるのです。
作者は『バレエシューズ』で有名なノエル・ストレトフィールドで、この短いお話の中にもバレエへの愛があふれています。ピンキーは擬人化されることなくあくまで猫らしく描かれていますが、しかしその全身の表情はまさにバレエを愛する踊り手そのものです。物語も絵も決して甘くないのですが、読み手の子どもの心をしっかりと捉える力があります。劇場で万雷の喝采に包まれたピンキーの姿は堂々として自信に満ち、自分の好きなことを貫いて成功を収めた結末に、読者も大いに満足すること間違いなしです。（か）
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