堀川理万子『いま、日本は戦争をしている』原画展

「いま聞かなければ、なかったことになる戦争体験がある」―― 3年の歳月をかけて制作された堀川理万子さんの『いま、日本は戦争をしている』(小峰書店)は、そのような切迫した思いから生まれました。80年前の戦争を体験した世代が次々と世を去り“記憶の継承”が大きな課題となっている今だからこそ、堀川さんが強い覚悟をもって証言者の語りを絵にして残すことに全身全霊で臨んだことが作品全体から伝わります。太平洋戦争の日々を、子どもたちは何を感じながら、どのように過ごしていたのか。子どもたちの語りを通して当時の暮らしを振り返る時、「戦争とは何か」が80年の時を超えてリアルに見えてくるのです。
(協力:小峰書店)

会期:現在開催中 ~8/31(日) “堀川理万子『いま、日本は戦争をしている』原画展”  9階ナルニアホールの様子


 ナルニアホールの原画展がスタートしました。現代の読者にどうすれば戦争の本質が伝わるか――この本は、難しい課題に対して見事に一つの答えを出された作品です。80年前の子どもたちの日々を覗いてみる気持ちで、どうぞホールへ足を運んでください。


 ホールには18枚の原画が展示されています。たくさんある作品の中から堀川さんご自身が選んでくださいました。北は樺太から南は沖縄まで、当時の子どもたちの日々を丁寧に聞き取り、絵にしています。大変な生活の中にも輝きや喜びがあったことが伝わる、あたたかく力強いイラストです。

  
本を読まないで絵だけ鑑賞すると、状況がわかりにくいなど少し難しいところもある原画展なので、ナルニア国の宣伝部長・くろみみくんが短い感想をつぶやきながら皆さんのお手伝いをしています。「絵を見た後は、じっくり本を読まなくちゃね!」とくろみみくんが言っていますよ~。
 
ホール内のケースには、堀川さんが取材中に使用されたスケッチ帳やメモ帳などの資料をお借りしています。取材先でたくさんの絵を描かれていますが、お見せできるのは1ページだけ! 実はこのスケッチ帳からいただいた絵がサインカードとして、書籍購入者にプレゼントされます。これはナルニア国だけの特典で~す(^▽^)/


ナルニアホールの外壁では、この本の制作のための取材の様子がパネルで展示されています。堀川さんが時間をかけて証言者の元へ何度も通われ、一人一人の貴重な体験を聞き取り、絵にされたことがわかります。当時の子どもたち自身の言葉で書かれた文章も、とても印象的です。
 
『いま、日本は戦争をしている』は戦争を伝える本ですが、決して子どもたちに恐怖を与えるものではありません。子どもたちが楽しんで見られる稀有な作品です。この夏、ご家庭で戦争について話をするきっかけにしていただければ……と思います。

【次回のギャラリー展示・予告】
出久根育『もりのあさ』原画展  会場:9階ナルニア国店内ナルニアホール
 
会期:2025年9月5日(金)~10月26日(日)
今年の4月に刊行された、出久根育さんの最新絵本の原画展です。全点が展示されるのは今回が初! 原画ならではの繊細で微妙な筆遣いが間近に見られる貴重な機会です。皆さまのご来場を心よりお待ちしております。 (協力:偕成社) ※詳細は店頭チラシとホームページでご案内いたします。