1980年代から90年代にかけて集英社コバルト文庫を中心に人気を博した女性作家がいます。当時、若者たちから圧倒的な支持を得た彼女の名は「氷室冴子」。「さようならアルルカン」で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞して文壇デビューを果たし、『クララ白書』「なんて素敵にジャパネスク」シリーズ、スタジオジブリでアニメ化された『海がきこえる』など数多くの作品を手掛けました。
作品に共通するのは主人公がみな芯の通った女性であるということ。小説が書かれた頃は「女性とはかくあるべし」というステレオタイプが今よりも色濃かった時代。氷室さんの描く己の意思と意見を明確に示す主人公たちの凛とした姿は、世の読者にとって輝かしい存在で励みであり憧れでもありました。

氷室さんはエッセイも多数手がけていて、人柄が偲ばれる文章は鋭い視点で理路整然としていながらコミカルな応酬もある魅力あふれるものばかり。なかでも『いっぱしの女』は2021年に新版となってちくま文庫に仲間入りしたのですが、30年前に書かれたとは思えない(つまりは「歳月を経ても動かぬ現実が今も目の前に横たわっている」わけですが……)内容に、「そうそう」と強く頷いてしまいます。

さて、そんな氷室さんが、幼い頃に愛読した『赤毛のアン』『リンバロストの乙女』『秘密の花園』などの少女小説について思い出と解説を綴った『マイ・ディア 親愛なる物語』の刊行と、古代転生ファンタジー「銀の海 金の大地」シリーズの復刊を記念してミニフェアを開催しています。
『マイ・ディア』はとびっきり楽しいエッセイ&ガイドブック。ただ、紹介されている物語のなかにはすでに版元品切れになってしまったストーリーがいくつもあり、とても残念……。図書館や古本屋を上手にご活用ください。
「銀の海 金の大地」シリーズの方は現在5巻まで刊行されていて、真秀と真澄がこの後どうなっていくのか怒涛の展開が気になるところです。(それぞれの本の詳細はタイトルをクリックして掲載ページへどうぞ。)

青春真っただ中のあなたも、かつて謳歌した青春時代をなつかしむあなたも大歓迎!
フェアのタイトルは、「氷室冴子と青春を」です♡

 

■□■氷室冴子作品紹介■□■
・『マイ・ディア 親愛なる物語』 河出文庫/990円
・「銀の海 金の大地」シリーズ 集英社オレンジ文庫/1~4巻 各770円・5巻 737円
・『なんて素敵にジャパネスク』 集英社コバルト文庫/825円
・『海がきこえる』『海が聞こえるⅡ』 徳間文庫/880円・1,045円
・『新版 いっぱしの女』 ちくま文庫/770円

■□■少女小説作品紹介■□■
・『そばかすの少年』 ジーン・ポーター 著/村岡花子 訳/河出文庫/1,012円
ほか

*価格はすべて定価・税込です。

 

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