【たくさんのふしぎ40th】🤔(2013年5月号)
『みんなでつくる 1本の辞書』
飯田朝子 文
寄藤文平 絵
福音館書店 刊
2015年9月 発行
1430円(税込)
48ページ
日本語を話す人が「1本」と数えるときに思い描くイメージを明らかに!
日本語に約500種類あるという助数詞の中で「本」に注目して作られたのが本書です。著者の飯田朝子さんは言語学の専門家で、なかでも日本語の数え方をはじめとして、言葉の意味や使い方を研究しています。
ある時、留学生の友人から「本」の使い方がわからないと質問されたことから、「本」について考えてみようと思われたそうです。
辞書で「本」を引くとまず最初に「棒のような形をした長いものを数える言葉」とありますが、その長さとは一体どれくらいを指すのでしょう? また長くても丸いものや、細いものなどは?など、考え始めてみると疑問は尽きません。学生30人に協力してもらった結果、「本」を使う時、私たちは形だけではなく機能や特徴にも注目しているということがわかってきました。何やら「本」を使うものに対して、日本語話者は共通のイメージを持っているようなのです。それは何かーー著者の探索はさらに続きます。
分からないときは専門家に聞け!の姿勢で、著者は「机を1本と数える理由」を家具屋さんに、「つかいきりカメラを1本と数える理由」を電器屋さんに、さらには「電車1本の謎」を駅員さんに、「柔道の決め技1本の心」を武道家に聞きに行きます。それぞれにはそれぞれ納得の理由があり、同時に「本」の懐の深さも感じました。また、日本語の歴史の中で「本」を紐解くと、初めの狭い意味からどんどん広がって、様々なものを数えることのできる便利な数え方として、現代でもその利用方法は変化していることがわかります。遠くに見えるビルを「1本」と表現することは間違いとは言えず、むしろ数え方は物事をどうとらえるかによって変わっていくのだという言葉の面白さに、くらくらする思いでした。
この本では「本」で数えるものが350種類以上も見つかりましたが、まだまだどこかに「本」で数えられるものがあるかもしれません。この辞書の続きを作るのはあなた! ぜひ「本」で数えるものを探してみましょう。(か)
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