【たくさんのふしぎ40th】🤔(2013年12月号)
『スズメのくらし』
平野伸明 文・写真
福音館書店 刊
2019年2月10日 発行
1430円(税込)
40ページ
人間に近いところでくらすことを選んだ、スズメ
スズメは、私たちにもっとも身近な鳥です。体の大きさは14~15cmくらいで、くちばしはみじかくて太く、先はピンセットのようにとがり、小さな種や虫をついばみやすくなっています。
スズメと聞いて、その姿を思い浮かべるのは容易ですが、意外にも、そのくらしぶりは知られていません。常に天敵にねらわれているスズメは警戒心が強いので、近づくことさえ難しいのです。
スズメは襲われないよう、ある工夫をしています。それは「群れ」でくらすこと。食べものをさがすとき、まわりがひらけた田畑や草原だと、目立ってしまい、襲われやすくなります。しかし、群れで行動することにより、天敵を見つける確率があがり、逃げやすくなります。また、群れであることで、天敵はどのスズメを狙えばよいのか目標をしぼりにくくなるため、狩りの成功率が下がるそう。スズメを見かけるとき、群れでいることが多い理由がよくわかりました。
それでも、肉食の生きものに次々と食べられて数がへってしまうスズメは、子育ての回数を多くしてたくさんの子どもを育て、なかまの数をふやしています。 なぜ、年に何度も子育てができるのでしょう。それには、2つの秘密があります。ひとつは、ヒナがひとり立ちするまでの早さ、もうひとつは、巣の使い方です。「人間との共存」にも繋がっている、巣作りにおけるスズメの知恵とは何でしょう。外側からは見えない、スズメの子育ての工夫を知り、次にスズメを見かけたらエールを送りたいと思いましたが、近ごろスズメを目にする機会がへっていると思いませんか。
スズメは近年、都市部では数をへらしつづけていて、その原因のひとつは「人間のライフスタイルの変化」にあるといわれています。以前の人家は、瓦屋敷がふつうで、スズメは瓦のすきまなどに巣を作っていましたが、最近は密閉型住宅がふえたことですきまがなくなり、スズメはやむなく信号機、エアコンのホースや排水口のすきま、電気メーターのなかに巣をつくるようになりました。しかし、こうした場所は漏電が起きたり水がつまったりするため、人に取りのぞかれてしまうのです。 人間のくらしが、スズメのくらしに影響を与えているという事実には胸がしめつけられますが、それでもスズメは人間に近いところで暮らすことを選び、共存しています。私たちは、小さなからだで精いっぱい生きるスズメに、何をしてあげられるでしょう。まずは「スズメのくらし」を知ることから始めませんか。(み)
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