【たくさんのふしぎ40th】🤔(2005年9月号)
『ノースウッズの森で』
大竹英洋 文・写真
福音館書店 刊
2011年3月 発行
1430円(税込)
40ページ
森のなかを歩き、森を呼吸し、森の音に耳を澄まし、季節の変化に目を凝らすなかで見えてきたものは?
北米大陸のさらに北に広がるノースウッズの森に生きる命を写真に撮り続けている大竹英洋さんの、初めての著作が2005年に出版されたこの月刊誌「たくさんのふしぎ」です。表紙にはまっすぐにこちらを見つめる鹿の姿。この1枚がどのように撮影されたのかを想像すると、そこに流れる時間の濃密さは私たちが日常的に体験するもとのあまりに違うことに圧倒されます。
森の中では人間は異物です。森の生き物たちが主役であるこの地で人が受け入れられるためには、常につつましく振舞い「じっと待つ」姿勢こそ必要とされます。そうして自然の時間に自らを委ねることで、僥倖ともいえるような美しい瞬間をフィルムに収めることができるのではないでしょうか。美しさの中に厳しさや危険をはらんでいるノースウッズの自然と、そこにある命に限りない敬意を払っている写真家の姿勢が、見開き写真と飾らない文章の組み合わせから静かに感じられます。本書を手にすることで読者は、自分もまた自然に生かされる命の一つであることを思い出すことでしょう。(か)
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