【たくさんのふしぎ40th】🤔(2019年6月号)
『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』
奥 修 文・写真
福音館書店 刊
2022年3月15日 発行
1430円(税込)
48ページ

地球上でもっとも重要な植物「珪藻」のひみつ

本書を手に取られたら、まず30~31ページを開いてみてください。珪藻をならべてつくったクリスマスツリー(珪藻アート)を見ることができます。その煌めく美しさは、見る人の心をすぐに捉え、その正体について深く知りたくなります。
さて、珪藻とは何でしょう。それは、ワカメやコンブなどと同じ「藻」のなかま。でも、ただの藻ではなく、ガラスの殻(珪酸質の殻をもつもの)を珪藻とよびます。どこで見つけられるかというと、自然のなか、水のある場所、たとえば道ばたの水たまりからも生きた珪藻が見つかるそう。ほかの藻に比べて圧倒的に早く多く増える性質があり、酸素をつくり、ほかの生きもののよいえさとなることから「地球上でもっとも重要な植物」とも言われています。珪藻は、水のなかの生きものを支えているのです。

「珪藻アート」とよばれる、極小の世界の作品をつくっているのは世界でも数人。奥 修さんもその1人で、0.1ミリにもみたない、ちいさなちいさな生きものの体の一部であるガラスを集め、ならべ、一つの作品を作るお仕事をされています。珪藻は死ぬと体を包んでいたガラスだけがのこり、それは腐らず分解されません。そのちいさなガラスが、作品のもととなる材料になるそうです。ガラスは数十年、数千年、数千万年とのこり、池や海底の泥のなか、古い地層のなかから大量にみつかるそう。時代を超えて、その姿を目にすることができると思うと、ロマンを感じます。

珪藻アートの作成は、容易ではありません。その美しさがどのように作られるのか、その過程を知ると、まさに職人のお仕事であることがわかります。アート作品をつくる道具の一つを知って、驚かされました。珪藻の多くが1ミリの10分の1以下と小さいので、「まつげとまゆげの毛先」を使用するそう!技術力の高さに、圧倒されます。ちいさな・ちいさな・ガラスの世界のひみつが、この1冊にたっぷり記されていますし、カラー写真で珪藻アートを楽しむこともできるので、ぜひご覧ください。(み)

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