【たくさんのふしぎ40th】🤔 (1987年2月号)
『鬼が出た』
大西廣 文
梶山俊夫ほか 絵
福音館書店 刊
1989年11月8日 発行
1430円(税込)
40ページ

古い図像を手がかりに、鬼本来の姿を探る

「鬼」ときいて何を思い浮かべますか。人を怖がらせる悪いヤツ、でしょうか。確かに絵本や昔ばなしに出てくる鬼は大抵悪事をはたらきます。人に使うこともあり、怖い人や意地悪な人に対して「鬼!」と言ったりしますね。鬼には悪いイメージがあるようです。本書は「鬼」とは何かを多様な視点から解き明かそうとする鬼の解説書。鬼の種類や出現場所、特徴、ルーツなど、鬼にまつわるあれやこれやを知ることができます。鬼好き、妖怪好きのお子さんにぜひ手渡してあげてほしい一冊です。

「鬼」という言葉には元々「かくれているもの」という意味があったそうです。目に見えないもの、得体のしれないものというのはやはり怖いものですから、そうした不安が鬼という表象となったのでしょう。この不安の対象は病気や貧困、自然の力といった、実際に目に見えないものだけではなく、盗賊や当時の朝廷に従わない部族、海の向こうの人々も鬼と思われていました。自分たちと敵対する人たちや、見知らぬ人のことを怖いと思う気持ちはよくわかりますよね。この感覚は現代の私たちにもよく理解できます。

また、鬼といえば地獄にいて、閻魔様に仕えているイメージもあります。この地獄の鬼、元はインドの神さまでした。仏教の神さまとの戦いに敗れ、地獄の使いとなったのです。仏教の人たちの視点では他宗教の神さまは怖い魔物に見えていたのですね。この鬼のイメージが日本に伝わり、様々な「恐ろしいもの」が鬼のかたちとなったのです。時には、日本の土着の神さまも鬼の姿で表されることがあります。この鬼たちは普段は見えないところで人々を見守っていて、年に一度その土地のお祭りの時に姿を現します。そして、その時に鬼と触れ合うと健康になると言われています。怖い鬼ばかりではなく、私たちを守ってくれている神さまも鬼のかたちをしているというのは興味深いことです。鬼にもいろいろな種類がいるのだということ、また、恐ろしい存在と思っているものも見方を変えると別の一面が見えてくるということを本書は教えてくれます。(ほ)

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