
【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2004年2月号)
『エンザロ村のかまど』
さくまゆみこ 文
沢田としき 絵
福音館書店 刊
2009年6月20日 発行
1430円(税込)
40ページ
日本人の生活の知恵が生み出した「かまど」と「ぞうり」が、なぜアフリカの村で見られるの?
アフリカの東、赤道直下の国ケニアの首都ナイロビから北西に車で半日ほど行ったところにあるエンザロ村には、エンザロ・ジコと呼ばれるかまどがあります。ガスも水道もない村で、人々の命を支える大切な存在であるかまどは、日本人女性が考案したものでした。どうやってエンザロ村にかまどがもたらされたのか、著者のさくまさんはそれが知りたくてはるばる日本から訪ねて行ったのです。
エンザロ・ジコを普及させた岸田袈裟さんは30年近くケニアに住み、女性や子どもたちの生活改善のために働いてきました。村人たちが本当に必要とするものは何かと話を聞く中で、まずはきれいな水が必要であること、さらにきれいなだけでなく安全な水が必要であることを知り、そこから生まれたのがかまどづくりのアイディアだったのです。かまどを作ることで女性たちの煮炊きの仕事が楽になるだけでなく、煮沸することで安全な水が手に入るようになり、乳児死亡率が激減しました。作るのにお金がかからないエンザロ・ジコは、ケニアの他の州だけでなく、今では隣の国にまで広がっているそうです。
かまどの他に岸田さんはぞうりも村にもたらしました。パティパティと呼ばれるぞうりは、はだしで過ごすために足の裏の傷から菌が入ってしまう危険が多い人々の命と健康を守る役割を果たしています。小学校の図工の時間にパティパティ作りを学んだ子どもたちが、今度はよその地域に先生となって教えに行くというよい循環も生まれ、村の人たちが衛生について考えるきっかけも与えています。
本を読んでいて考えるのは「本当に、その人たちのためになる援助とは何か」ということです。大きなお金を動かして、巨大インフラをつくることだけが援助ではないはず。地域の人たちが必要とするものを自分たちの力で作り、維持し広げていくことができるように手助けをする岸田さんのような活動こそ、援助の本質ではないでしょうか。各家庭のエンザロ・ジコ自慢を見ると、自分らしい工夫がなされたかまどはもう他所からあてがわれたものではなくなっていることがわかります。日本の雪国の伝統的な技(岸田さんの故郷は岩手県の遠野です)が遠いアフリカの地で活かされていることに、なんだかとても誇らしい思いがしてきました。(か)
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