クマのプーさんの作者ミルンの伝記『グッバイ・クリストファー・ロビン』などを著した英国の著名な伝記作家アン・スウェイトが書いたバーネットの伝記が翻訳出版されました。『秘密の花園の向こうへ フランシス・ホジソン・バーネットの生涯』（山内玲子 訳／国書刊行会／4180円：税込）です。
児童文学の古典的名作『小公子』『小公女』『秘密の花園』は、もうすでに書かれてから100年以上経っていますが、時代を越えて読者をひきつける力を失っていません。その普遍性はどこから来るのか、これらの作品を生み出したバーネットはどのような人生を送ったのか――興味は尽きません。
「貧困のどん底から立ち上がり、たゆまず書き続けて、作家として大きな成功を手にした。富にも名声にも恵まれ、華やかで人も羨む人生を送った。しかし、その一方で（中略）大きな挫折感もたびたび味わった。」と、翻訳者・山内玲子さんのあとがきにありますが、同時に「波乱の生涯を生ききった彼女の最後の歳月は、穏やかで満ち足りていた。」と聞くと、少しほっとします。『小公子』のように当時社会現象と化し、日本とは異なる受け取り方をされた作品もあったようですが、そのような時代と歴史も含めてこの稀有な作家の生涯についてじっくり読んでみたくなりました。
バーネットについて興味がわいた大人の方には、あまり知られていない（であろう）この2作品もおススメです。出版社在庫があるうちに（残念なことですが、こういう本はいつ無くなるかわかりませんので……）、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。
【新刊】『秘密の花園の向こうへ フランシス・ホジソン・バーネットの生涯』アン・スウェイト著／山内玲子 訳／国書刊行会 4180円（税込）
『バーネット自伝 わたしの一番よく知っている子ども』フランシス・ホジソン・バーネット著／松下宏子・三宅興子 編訳／翰林書房 3080円（税込）
『白い人びと ほか短編とエッセー』フランシス・バーネット著／中村妙子 訳／みすず書房 3080円（税込）
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