クリーンヒット⚾フィクション
『いまにヘレンがくる』
メアリー・ダウニング・ハーン 作
もりうちすみこ 訳
偕成社 刊
2023年11月 発行
1760円(税込)
253ページ
対象:小学校高学年から

全米で35年以上読みつがれる名作ホラーの初邦訳

「何が不満で、ママはあいつと結婚したんだろう。あいつとヘザーが来るまで、ぼくたち、完璧に幸せな家族だったのに」

母親の再婚によって家の中の雰囲気がどんどん険悪になっていることを嘆くのは、モーリー(12歳)と弟のマイケル(10歳)。姉弟は、その不愉快の原因をつくっている義理の妹ヘザー(7歳)との接し方に悩んでいました。

一家が墓場近くの小さな教会に引っ越すことになり、物語は急発進します。そこでヘザーはヘレンという少女と親しくなりますが、その正体は、亡き少女の幽霊。ヘレンにはある恐ろしい目的があり、ヘザーと仲を深めていきます。2人が抱える秘密によって、一家は更なる不仲の渦に巻き込まれることに。言い争いが絶えないなか、ヘザーはモーリーたちに、脅します。「いまにヘレンがくる」。

本書は、1986年にアメリカで刊行されて以来、35年以上にわたって読みつがれているゴースト・ストーリーです。

読者は、いつヘレンが襲ってくるかわからない恐怖に、モーリーと同化したような体験をするでしょう。ただし、描かれているのはホラー描写だけではありません。再婚による子どもたちの葛藤、そして、親の思い。なかなか心が通じ合えない一家に、血の繋がりをこえられる日はくるのでしょうか。

不可解な謎やホラーに興味がある方には特におすすめです。ゴースト・ストーリーは苦手でも読んでみたい方は、日が明るいうちに読むのがよいかもしれません。一家の結末をぜひ見届けてほしいです。(み)

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