クリーンヒット⚾ 絵本
『あまがえるのたんじょう』
たてのひろし 作
かわしまはるこ 絵
世界文化社 刊
2023年5月10日 発行
定価1540円（税込）
32ページ
対象；幼児から
「３びきのあまがえる」シリーズ第3弾！ ～繁殖からあまがえるになるまでの成長を描く
水の中のおたまじゃくしをこんなに愛らしく描いた本を知りません。透明感があって、なんて表情豊かなおたまじゃくし！
夜、あまがえるは水の中でたまごを生みます。その後、ぷかぷか漂い、水草にくっついて、しばらくしておたまじゃくしがかえりました。水の中はたくさんの生き物がいます。小さなおたまじゃくしはみずかまきりや、まつもむし、やごなどに食べられてしまい、兄弟や仲間は少なくなっていきました。
そんな中、生き残ったおたまじゃくしは大きくなり、しっぽの付け根から小さな足が出てきました！
丁寧にたまごからかえるになるまでを描いた1冊。フィクションなのに、まるで科学の本のようです。
画家は実際に長年あまがえるを飼育し、観察を重ねてきたとのこと。自分の目で見たからこそ描ける世界だと感じます。いい意味でリアルな感触が伝わってくるのです。
おたまじゃくしが水面から顔を出して初めて見る景色の場面は、気持ちが高揚します。「うわぁ～っ！」って声が聞こえそうです。
幼い頃、田んぼでおたまじゃくしやかえるを捕まえたことを思い出しました。でもその時は水の中のおたまじゃくしの表情なんて気にもとめなかったなあ。
最後まで読むと大きくなったあまがえるの姿に「！」となるしかけもあります。これまで絵本を読んできた読者には嬉しい驚きですね。 （す）
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