クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『13歳からの考古学 なんで信長はお城を建てたの? 「お城」のはじまりを探す旅』
畑中英二 著
にしざかひろみ 画
新泉社 刊
2022年5月9日 発行
定価2200円(税込)
298ページ
対象:中学生から

安土城、姫路城、甲賀・上野城へ城巡り~お城の沼にハマってみよう!

京都生まれ京都育ちの中学1年生のホタカは部活に入るでもなく、なんとなく中学校生活を送っていました。そんなホタカは夏休み、お父さんに勧められて一人でお城をめぐる小旅行を始めました。そもそもホタカは歴史好きのお父さんの影響で、自然と歴史や地理に詳しくなっていました。あんまり気乗りせずに始めたお城巡りでしたが、先々で出会うお城に詳しい「先達」に案内されるうち、次第に興味を持つようになっていきます。

安土城の発掘調査にも参加するようになって、どんどんお城の沼にハマっていくホタカ。お城のしくみなどについて知るうちに「なんで織田信長は安土城を建てたのか」という疑問がわいてきました。

物語仕立てで、城の謎に迫っていく構成。「安土城の巻」「姫路城の巻 城郭のギミックに驚く編」「甲賀・上野城の巻」「安土城の巻その2 発掘調査」「安土城の巻その3 お城をもっと理解する編」の章立てです。中学生のホタカの視点なので、歴史に詳しくない読者も一緒に学べます。カラー口絵、挿し絵の図解があってよいです。が、図解の絵はもう少し大きくページにあったほうが見やすくていいのに、と思いました。ちょっと残念…。

とはいえ、ここに取り上げられたお城はどこも行ったことがないので、行ってみたくなりました。前に大河ドラマで「真田丸」があったとき、大ハマりしてあちこち巡礼したことを思い出しました(笑)。沼田城跡とか上田城とか……。
そして、あとがきのこの文面に大いに共感!

「歴史的な出来事と関わるものが何も留められていない場所では、想像することは難しいので、環境は保全しておいたほうがいいし、形のあるものならば実物が残されていたほうがいいですね。しかし、今やそれらをバーチャルで実感することが可能になりつつありますので、それさえあればよいという人もいるでしょう。けれども、私は現地や現物でしか感じ取ることのできない、人間固有の時間・空間の感じ方があると考えますので、バーチャルなものが代わりにはならないと考えています。」

皆さんはどう思いますか? 歴史好きな人はもちろん、そうでない人にも読みやすい1冊です。 (す)

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