クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『差別ってなんだろう?』全3巻
➀ 差別はいま、ここにある(2023年2月25日 発行)
② 性別や性のあり方にかかわらず(2023年3月30日 発行)
③ 国や文化、生いたちがちがっても(2023年3月30日 発行)
好井裕明 監修
新日本出版社 刊
定価各3630円(税込)
47ページ
対象:小学校高学年から

どうすれば差別をなくせる? だれもが自分らしく過ごせるためには? 共生社会ってどういうこと?

図書館向けのいわゆる「セットもの」です。個人で求めることは難しいでしょうが、ぜひ学校や公共図書館では購入してほしいと思いました。社会科などの授業の導入や、ホームルームの時間などにも使えそうです。
なぜなら、とても現代的な難しい問題を丁寧に書いていて、大人も子どもも考えるきっかけになる1冊だから。

身の回りには多くの差別が存在しているけど、案外気がついていないことにハッとさせられます。
まず、どの巻にも冒頭にある「はじめに」の文章がとてもいい。差別とはどんなものかを提示しています。そして、「差別の実態を明らかにして、みなさんと考えるきっかけにするため、一部に差別表現を掲載しています。ストレスを感じたり~(中略)~つらくなる方は、無理せず読むのをやめてください」との表記も! こんなことが書いてある本を見るのは初めて! 驚きました。とてもやさしいと思いました。

1巻目では「差別ってどんなもの?」の章立てを9個の項目、「障がい者への差別」の章立ては5個の項目で解説しています。いずれも具体的な事例を紹介しつつ、コラム的な読み物も充実しており、多角的に差別というものを捉えます。

「これは!」と思ったのが2巻目の「女の子や女性への差別」の章立ての2個目の項目。「現在はどんな差別があるんだろう」というページで挙げている事例が「政治や経済の分野で目立つジェンダーギャップ」というものだということ! このような取り上げられ方は珍しい!
巻のタイトルのつけかたもストンと腑に落ちるかんじがしました。用語解説やさくいんのページもきちんとあって、読者に寄り添った本作りだと感じました。

そして…この監修者は『他者を感じる社会学 差別から考える』(筑摩書房)の人でした! このことを知って、すべてがクリアになった気分です。 (す)

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