クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『海からいただく日本のおかず3 魚卵 魚介類の塩蔵品』
阿部秀樹 写真・文
一般社団法人大日本水産会 魚食普及推進センター 監修
偕成社 刊
2024年3月 発行
2640円(税込)
40ページ
対象:小学校中学年から

日本人が親しんでいる魚介類のなか、魚卵にスポットを当てた稀有な本!

新刊の案内チラシに本書が掲載されているのを見たときから、わくわくしていました! 「魚卵の本って何?」と。
というのも、個人的なことで申し訳ないけど無類の魚卵好きなのです、わたし…(笑)。一般的には「魚卵」って単語を日常的には使わないかもしれないですね。でも、わたしは当たり前に使います。
あ、魚卵って文字の通り「魚の卵」のことで、たらことか筋子、いくら、超高級品だとキャビアとかカラスミなどのことを言います。辛子明太子ももちろん仲間です。
そんな魚卵をテーマにした本だなんて、これまで見たことも聞いたこともありません。専門書ならあるのでしょうが、一般書というか子ども本でだなんて!

さて、内容について。
魚卵とは、昔から日本人が工夫して保存加工してきた食べもののひとつ、とのこと。そして日本人ほど積極的に魚卵を食す国は、世界をみても多くはないそうです。子孫繁栄につながる縁起のよい食品と考えてこられたため、お正月やめでたい席には欠かせない食べものになったそう。そして数ある魚卵の特徴や種類、歴史についても触れています。記述されていることのほとんどが初めて知ることばかりで「へえ~」とか「ふぅん」とか思わず声を出してしまったほどーーカウンターで見ていたのですが、その様子を他のスタッフに見られ笑われました。
それから今やおにぎりの具やパスタなどにも欠かせない辛子明太子は、戦後うまれの食べものだなんて驚きました。その明太子の加工過程を紹介していたり、イクラの作り方の説明まで掲載されています。
そのほか魚卵以外の魚介類の塩蔵品も紹介されていて、ひとはさまざまに工夫を重ねて食文化を作り上げてきたことがわかります。

「海からいただく日本のおかず」シリーズの3巻目。『干物』、『蒲鉾』も合わせてみると、更におもしろいかと思います。
それにしても表紙たらこの写真が美しくて、うっとりせずにはいられません。  (す)

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