クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『生物がすむ果てはどこだ? 海底よりさらに下の地底世界を探る』
諸野祐樹 著
くもん出版 刊
2022年1月 発行
定価1540円(税込)
95ページ
対象:小学校中学年から

世界にほこれる日本の科学技術を使った研究!

最先端の研究について、研究者自身が子どもに向けて綴った1冊です。著者は海洋研究機構JAMSTEC(ジャムステック)主任研究員。なぜ研究員になったのか(生きものはどうして生きているのか、とか)、研究の内容、それにともなうさまざまな心情が詰まっています。写真や図解も豊富で、読みやすい体裁。
世界に3か所しかない、地底を深く掘りぬいてサンプリングした「コア」を管理する施設のひとつが高知県にあるそうです。この研究施設では、海底深くの地層から生きものを探す研究が進められています。

「想像できない世界にいた微生物」「海底は地球の歴史ノート」「海底下を探る科学掘削船」「高知コアセンター」「海底は意外と天国!?」「プロの研究者になる」「海底下の生き物を探す方法」「想像できないくらしかた」「これからの研究」の章立て。
研究の内容もおもしろいな~と興味深く読みましたが、中でも一番響いたのは“自分で考える新しいやりかた”に書かれていた以下の文章です。

みなさんが勉強している教科書に書いてあることは、これまでにだれかが調べたり、発見したり、つくりだしたりしたものが積みかさねられた、先人たちの知恵のかたまりです。だから、まだだれも調べていないこと、知らないこと、わからないことは書かれていません。当然ですね。これらの“ない”ことを明らかにしていくのが「研究」です。
でもそれには、どこまでが「知られていないこと」で、どこからが「だれも知らないこと」なのかをきちんと知る必要がありますね。じつは、それがけっこうたいへんなのです。

まだ続きますが、この先は本を手にしてみてください。
生きものの限界を調べるとは、途方もないこと。それを続けていくことの面白さ、大変さを感じられます。そして人が手にしている「知」とは、世界のほんの一握りなんだな、とも改めて思いました。
この本をきっかけに「研究」に目覚める子どもがいたら、とも思います。(す)

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