クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『翻訳はめぐる』
金原瑞人 著
春陽堂書店 刊
2022年8月2日 発行
定価1870円(税込)
222ページ
対象:大人

言葉と文字の当たり前や思い込みを問い直すエッセイ集!

翻訳家で大学教員40年の著者、金原さんによる最新エッセイ。翻訳書は優に600冊を超えている金原さんの翻訳に対する思いにはじまり、英語、日本、表記、はては古辞書について綴っています。
どんな内容か目次をみてみると…「翻訳家の悩みは尽きない」「支配的な英語、面倒な日本語」「縦書きか横書きかって、そんなに重要?」「幕末から明治にかけての日本語表記の楽しい混乱」などといった塩梅です。おもしろそうでしょ? そう、おもしろいです!
ひとつずつの章は短めなので、読む時間を取りにくい人でも気軽に手にしやすいです。わたしはイッキ読みしちゃいましたが(笑)。

特におもしろかったのが翻訳をする際、どうでもいいこととして挙げていた事柄。実例が出ているので、一読者としてはそんな翻訳家の努力(?)の恩恵を受けているのだな、と感謝の思いが…!
またコミックの翻訳についてのあれこれがとてもおもしろかったです。縦書きの日本のコミックを翻訳するとき、以前は絵をページごとに反転させていたらしいのですが、“鳥山明伝説”なるものがあるそうです。詳しく知りたいかたは、ぜひ本書を手にしてみてください!

さらにすご~い! と個人的に思ったのが古辞書。表紙や本文中にもたくさん写真が掲載されているのですが、個人蔵のもの。いっぺん全部、ホンモノをみてみたいと思いました。ずらっと並んだら、壮観だろうなあ。

本の袖にある金原さんの言葉に思いが集約されているかも、と思うので引用しますーー。
「翻訳なんてものは、言葉を信じていないからこそできるような気がしてならないのだ。だからこそ、言葉で伝えられるものは精一杯伝えたい。」  (す)

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