クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『「好き!」の先にある未来 わたしたちの理系進路選択』
加藤美砂子 編著
岩波書店 刊
2024年2月15日 発行
1595円(税込)
119ページ
対象:中学生から

「好き」なこと、ワクワクすることを見つけると、人は強くなれる

本書は、「理系科目が好き」「将来は理系に進みたい」と思う中学生・高校生が、その先の進路、仕事を考えるにあたり、どのような選択肢があるかを参考にできる1冊です。実際に理系に進まれた11名の女性が自身の体験をもとに具体的な実話を聞かせてくれるので、より親近感をもって読み進めることができます。

なかには「理系」に苦手意識があり、はじめから進路や職種に「理系」は選ばないと思っている学生がいるかもしれません。実際、日本では理系分野を学んで社会で活躍する人(とくに女性)が諸外国に比べてまだまだ少ない現実があるそう。

しかし、理系に進んだ人すべてがもともと理系が得意であったかというと、そうではありません。本書でも、幼少期は読書やお絵描きが大好きな「文系っぽい子ども」であったけれど、理系に進む決断をした話が書かれています。また、理系に進んだ先輩方の言葉には、学生の背中を押してくれるメッセージも多々掲載されており、学生に限らず、大人の心にも響く内容です。
たとえば、先のことを考えて悩むことがあった時は「まずは目の前のこと=「点」を大切」にすること、そして、そのとき忘れてはいけないのは「誰かが、こう言うから……などではなく、自分が本当にワクワクすることは何か、これだけは譲れないという思いは何か」を恐れずに尊重してほしいというメッセージには、大いに共感しました。

学生のうちは、「自分がどうしたいか」よりも、周りにどう思われるか、家族にどう言われるかを気にしてしまうことがあるのではないでしょうか。さらに、文系を選ぶか理系を選ぶか選択する際に、仲の良い友人がたくさんいる方に進むという学生もいるかもしれません。でも、10年後の自分は、その決断に後悔をしないでしょうか。

「好き」という思いは、大きな力を与えてくれます。本書を通して、11人の理系進路選択者の例に触れ、自身の胸の内とじっくり語ってほしいです。まだ夢がなかったとしても、実例を見聞きすることで、思い浮かぶことがあるかもしれませんよ。多くの学生の夢を、陰ながら応援しています。

(み)

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