クリーンヒット ⚾ フィクション
『ファイティング・チャンス』
ルイーザ・リード 作
金原瑞人、八木恭子 訳
岩波書店 刊
2025年9月5日 発行
2090円(税込)
220ページ
対象:中学生から

痛みを知り、逆境にあらがう人生にエールを送る、希望の物語

主人公のリリーは16歳。学校でひどいいじめにあっています。
その理由のひとつが、太っているから。そしてもうひとつの理由は、母親がリリー以上に太っていて、家から一歩も出ない生活をしているためでした。

リリーはあと1年辛抱すれば、義務教育が終わって次の段階に進めると考えてはいましたが、同級生からのいじめがエスカレートして、ある日ついに両親にすべてを打ち明けました。母親は号泣。父親は怒りの声をあげます。
そして、父親はリリーに状況を打破する力をつけさせるべくボクシングを教えはじめました!
次第にリリーは自分と向き合うようになっていき、笑顔のすてきな少女、ロージーと出会いますーー。

あとがきによれば、本書は昨今英語圏のヤングアダルト小説に多く見られるヴァースノベルという散文詩で書かれたものだそう。ただ、それだと日本の読者には敬意されることも多いため作者の了解を得て、普通の小説のかたちに近づけて翻訳したとのことです。そして、ところどころ詩の形を活かしてみたとも。
章立てが短いためか、テンポよく読み進められます。読むのがあんまり得意でない人も挑戦しやすいかもしれません。

いじめの場面は息がとまりそうになるくらい、読んでいてもとても辛かった。ドキドキが止まらなかったです。
リリーとともに、彼女の母親の抱えている問題もしんどい!
でも、最後は希望を感じます。読後感は悪くない。
ロージーと出会えてよかったね、とリリーに言いたいです。
人との出会いって、大概偶然だけど、その偶然が人を変えるきっかけになるよね、なんて思いました。 (す)

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