クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『体育がきらい』
坂本拓弥 著
筑摩書房 刊
2023年10月10日 発行
968円(税込)
218ページ
対象:中学生から

「きらい」の理由をひとつずつ哲学すると、体育の本質が見えてくる!

「体育がきらい」という人に向けて、「好きになって!」と熱いメッセージを送る類の本ではありません。逆に「体育を好きにならなくてもいい」と言い切っている稀有な1冊。ちょっと驚きです。
そんな本書の書き手は、大学で体育やスポーツを教えたり研究したりしながら「体育とは何か」といった問いに哲学的な立場から迫る学問“体育哲学”を専門にしている人です。

体育がきらい、と一口にいっても理由はさまざまです。どんな理由から「きらい」なのかをしつこいくらい細かに解き明かしていきます。たとえば跳び箱を飛ぶのを失敗したら恥ずかしいとか。

目次をみていくとーー第1章:「体育ぎらい」のリアル、第2章:体育の授業がきらい「規律と恥ずかしさ」、第3章:体育の先生がきらい「怖くても、ユルくても」、第4章:運動部がきらい「体育教師らしさの故郷」、第5章:スポーツがきらい「残酷で、すばらしい文化」、第6章:そもそも運動がきらい「だからこそ、からだに還る」となっています。

体育の授業のもっている意味って、考えたことなかったことに読みえ終えて気がつきました。ボールを扱う技術を向上させるとか、短距離走のタイムをあげるとかってことではない。「おわりに」の以下の文章が響きました。「最も重要なことは、みなさんが多様な他者とともに、自分自身のからだで、賢く、幸せに生きていくことです。そのためにも、たとえ体育の授業や先生、運動部やスポーツが嫌いになたっとしても、みなさん自身のからだだけは、どうか嫌いにならないでください。」
ああ、自分の体の使い方を学ぶためなのか。個人的には体育の授業というと、高校の体育科の先生のはりきり具合が印象的だけど(笑)、競技に特化したような授業ではなくなれば「きらい」とは思わずにすむのかな、と思いました。体育を教える立場の人からの発信、というのがよかったです。 (す)

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