クリーンヒット ⚾ フィクション
『Garden 8月9日の父をさがして』
森越智子 作
大野八生 絵
童心社 刊
2025年6月10日 発行
1980円(税込)
167ページ
対象:中学生から

父さんは、伝えたかったはずだ。8月9日、長崎で起きたことをーー。

被爆体験を語らず、家族を守り続けた父。その父が亡くなり、遺された被爆者手帳を手がかりに「あの日」の父をさがす物語です。

長崎に原爆が投下された日、12歳だった父は中学校で試験を終え、疎開先の隣町への列車に乗れたことで一命をとりとめました。ただ爆心地から800mのところにあった中学校が全壊。同級生の3分の1が帰らぬ人となったのです。
原爆から逃れたはずの父ですが、被爆していました。死後見つかった手帳からそれを知る「僕」でした。その手帳には知られざる父の葛藤が残されていたーー。
そして「僕」の名前に隠されていた秘密とは?
謎解きの要素もある構成になっており、ドキドキしながらページをめくりました。

ナガサキの原爆投下をテーマにした重い内容であるのに、さわやかな挿画の印象のため、そこまで重苦しさを感じない読後感です。

最後に収められている「一九四五年八月九日十一時二分」の物語は、とても胸に響きます。最後に置かれている意味も深く感じるところです。目頭が熱くなりましたーー。
原爆、というとヒロシマにフォーカスが当たりがちですが、ナガサキのことも忘れてはいけない、という思いを強くしました。(す)

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