ベスト👍 フィクション
『カムイの大地 北海道と松浦武四郎』
泉田もと 著
岩崎書店 刊
2023年2月 発行
定価1650円(税込)
190ページ
対象:高学年以上

男はひたすら北の大地を歩き続けた・・・。

幕末の動乱の時代、北の大地を歩き、詳細な記録を書き続けた男がいた。
―松浦武四郎。
北海道の名づけ親として知られている武四郎の、生涯をかけた北海道の旅を
史実をベースに物語として描いた作品です。

江戸時代、北海道は「蝦夷地」と呼ばれ、野蛮な民族が暮らす未開の地と
思われていました。しかしその北の大地にはアイヌ民族が、厳しい自然と
共存し、敬いながら独自の文化を花開かせていました。
そんな中、豊富な海産物で莫大な利益を上げる一方、アイヌの人たちに
激烈な差別と搾取をする「和人」たち。
和人への恐れと怒りを募らせるアイヌの人たちでしたが、武四郎のことは
「松浦ニシパ(男性への敬称)」と呼び、尊敬と信頼を寄せていました。

ドラマチックな展開に、グイグイと惹きこまれますが 単なる冒険物語で
終わらないのは、史実を元にしっかりと描かれているからー
読み手に「松浦武四郎」という人間を生き生きとイメージさせてくれます。

物語の要所要所に織り込まれている「イラストコラム」もとても分かりやすく、
物語を邪魔せず、アイヌ文化の理解の手助けをしてくれます。

読み終えた後は、裏表紙に描かれている武四郎が作った地図もじっくりご覧ください。

(く)

こちらもぜひお読みください。
『ハルコロ(1)(2)』
『シマフクロウとサケ』

★ご注文はお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メール narnia@kyobunkwan.co.jp