ベスト👍 フィクション
『マシュマロおばけ』
プリシラ&オットー・フリードリック 文
ルイス・スロボドキン 絵
小宮由 訳
瑞雲舎 刊
2022年8月 発行
定価1650円(税込)
55 ページ
対象:小学校低学年から

ハロウィンの夜、ほんもののおばけに出会ったら……?

アイルランドの古いお城からアメリカの小さな町に引っ越してきたおばけ――エスターおばさんと3人の子どもたち(ジェームズとショーン、ジョイス)は、コノヨノオワリ・タウンの古びた小さな家に住んでいます。ここは町の元モデルハウスで、今は空き家になっているところです。アメリカに来て初めてのハロウィンの日、3人の子どもたちは人間を脅かすために町に出てスーパーマーケットに入りました。ところが、そこでお菓子コーナーに山と積まれたマシュマロを食べつくしてしまった3人に、大変なことが起こります。なんと、おばけなのに姿を消せなくなってしまったのです!

まるで“古いシーツを被った子ども”のようになってしまった“本物の”おばけたちが、人間の子どものふりをして家々でお菓子をもらったり近所のパーティに参加したりする様子は、いかにもいたずらっ子らしくてとても愉快です。おばさんにおこられるとわかっていても、もらったお菓子を捨てられない気持ちは、子どもならとてもよくわかることでしょう。3人のいたずらのために最後にまたひと事件起こりますが、何もかもうまく収まって大満足のハッピーエンドを迎える物語は、安心して楽しめる幼年童話のお手本のよう。ハロウィンのおはなしですが、日本ではおばけと言えば夏ですし、この物語は季節に関係なくいつでも子どもたちを楽しませてくれる内容です。

翻訳者のあとがきが子どもには少し余計(?・笑)かもしれませんが、仰ることはごもっとも! 声を大にして「わたしが、“この”本をたのしんでいるのは、世界中を平和にするためなのよ!」と宣言したい気持ちになるような、幸せな物語です。 (か)

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