ベスト👍 ノンフィクション
『巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ』
竹内早希子 著
岩波書店 刊
2023年1月20日 発行
定価946円(税込)
210ページ
対象:中学生から

おけへの愛が止まらない!

非常におもしろいルポです!
日本食には欠かせない、味噌、醤油、酒などをつくる際に欠かせないのが巨大な木おけです。
しかし、現在ではステンレスやホーローのおけを使うことが多く、木おけは絶滅危惧種!! 木おけは日本固有のものらしいのですが、このままではつくれる職人がいなくなってしまう! と、立ち上がったのが小豆島の醤油職人でした。

最後のおけ職人に弟子入りして、おけづくりを学び、さまざまな困難に立ち向かう様子が綴られます。おけに関わる人々の深い愛を感じました。

このルポを楽しく読むしかけ(?)として、添えられたイラストの効果も抜群だと思います。モリナガ・ヨウさんの絵が的確なんです。なかでも「おけづくりの工程」と称した見開きページは必見!
またコラム記事もいろんな立場の人の気持ちがよく伝わってきました。

全体に大変読みやすく、「おけ?」と思う人も著者のわくわくに次第に引き込まれていくと思います。
味噌や醤油を使わない人はいないでしょうからね。身近な話題だけに、興味もわくというものです。
個人的には福島の仁井田本家が登場したのが「おお!」と嬉しかったです。今や人気の酒蔵ですが、震災後には当然のことながら大変なことも多かったのかと知りました。田んぼや水にこだわっていることは知っていましたが、木おけまでもとは!

「おけ」にまつわる歴史も知ることができる、人々の奮闘記です。 (す)

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