ベスト👍 ノンフィクション
『日本の昆虫』
今森光彦 著
アリス館 刊
2023年6月30日 発行
定価4620円(税込)
232ページ
対象:小学校低学年から

今森光彦のお気に入り「昆虫ミュージアム」をたっぷり楽しんでください!

『世界のクワガタムシ』『世界のカブトムシ』『世界のふしぎな虫おもしろい虫』『世界のチョウ』に続く、今森光彦氏による特別(!)な図鑑シリーズ。図鑑といってもよくテレビCMで流れているS館の図鑑とは一線を画すものです。とにかく昆虫のもつ強さ、美しさ、繊細さがよく伝わってきます。

前半は一見開きに一種の昆虫を「トンボ界の大横綱」とか「新天地の夢」「水辺のイメージ」といったタイトルで著者ならではの視点で綴られた文章とともに70種の昆虫を紹介しています。このタイトル、いいでしょ? どの昆虫を表しているか、わかりますか。そして端的に昆虫の特徴をとらえた文章は、さすがと言えます。後半は実物大で数百種を掲載。索引つき。

写真がとにかく美しく、昆虫たちへの愛で溢れています。どの昆虫もまるで宝石のような輝きをもっているのです。そんなに多くの写真家の写真を見たわけでないけど、他の写真家とはひと味違うと思います。惚れ惚れしちゃう。
写真につけたタイトルのセンスも詩的ですが、冒頭のエッセイがとってもいい!
「虫と遊ぶ」と題された数ページの文章は、日本の虫との付き合い方について書かれており、「なるほどな~」と思わされました。子どもは読むのが難しいかもしれないけど(場合によっては読まなくてもいいかも)、大人にはぜひこのページもしっかり読んでほしいものです。虫が苦手、という大人にこそ読んでほしいかも。昆虫の見かたが変わるのではないでしょうか。そして造本の立派さに臆さず、虫の好きな子に手渡してほしい。一生モノの宝物になることまちがいありません。 (す)

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