ベスト👍 詩
『韓国現代詩選 新版』
茨木のり子 訳
若松英輔、斎藤真理子 解説
亜紀書房 刊
2022年11月1日 発行
定価2420円(税込)
209ページ
対象:中学生から

「いい詩は、その言語を使って生きる民族の、感情・理性のもっとも良きものの結晶化」

本書は長く品切れになっていた詩集の版元をかえての新装版です。詩人、茨木のり子が「一種のカンだけを頼りに、50冊ぐらいの詩集のなかから選びとった」詩が62篇おさめられています。
1990年の出版物ですが、いま読んでも瑞々しさは変わっていません。
新装版になり、批評家・随筆家の若松英輔と朝鮮語翻訳者の斎藤真理子の解説が付されました。詩をより深く鑑賞する助けになっているのではと思います。
装丁も前より手にしやすいように感じます。ソフトカバーで、軽い! バッグにも入れやすい!
字組も読みやすいです。わたしは、とても好き。

本書は第42回読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞しており、出版当初もたしか話題になりました。
まだ20代だったわたしも興味をもって読んだことをよく覚えています。なかでも姜恩喬の「芥子粒のうた」にひかれ、何度も読み返し、ノートに書き写していました。
詩人ごとに数篇の詩が掲載されており、各詩人について茨木のコメントがあるのも当時、韓国のことなどさっぱり知らなかったわたしは「へ~」と思いながら読んだものです。今だって大して知っているわけではありませんが…。
詩人が翻訳する詩は、翻訳家が訳するものとはうまく表現できないけど、微妙なニュアンスが違うように感じました。
原文も読めないのに、とお叱りをうけそうですけど、そんなふうに思います。

1990年より韓国の文化が身近な昨今、広く読まれてほしい1冊です。 (す)

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