ベスト👍 伝記
『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 プロコフィエフ』
ひのまどか 著
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス 刊
2023年2月10日 発行
定価1760円(税込)
283ページ
対象:小学校高学年から

怪物の頭脳が「鉄のカーテン」の向こうに夢見た未来

音楽物語「ピーターと狼」やバレエ音楽「ロメオとジュリエット」などで知られるプロコフィエフの生涯を描いた1冊。
ウクライナ南部、現ドンバス地方の村に生まれたとは、本書を読んで知りました。
名前は知っているけど、どんな人物なのかは全く知らずに読みました。

音楽の印象からやさしい人っていう印象が強かったけど(あまりに大雑把ですみません!)、どちらかというと真逆なかんじの激しい印象で驚きました。
そして自信に満ちていて、自分を中心に世界は回っていると思っている人ってかんじ。
率直に、恐れずに感想を言えば、あまり好きじゃないタイプです(笑)。ただ、本当に才能に溢れていたんだということはビシバシと伝わってきました。
音楽学校の卒業試験に自作曲で挑もうとするなんてエピソードは、まさしくそれです。すごい発想…。こんな人いるのね。

第一次世界大戦、第二次世界大戦を経験して波乱に満ちた翻弄される人生を送ります。なかでも強烈だったのはソビエト当局に目をつけられたときの様々な出来事。
今現在も同じようなことが起きているに違いないと思うと、読んでいる本を持つ手が震えました。怖くて、ドキドキしました。

でも来日した時の逸話(!)や、「ピーターと狼」の作曲秘話などはおもしろく読めました。

プロコフィエフが亡くなった時の話もソビエトという国の在り方を考えさせられます。スターリンと同じ日に息を引き取った(!!)ために国中の花という花がスターリンのために買い占められ、音楽家のためには1本もなかったというのです。衝撃的すぎます。
プロコフィエフがロシアに生まれなければ、どういう人生を送ったのだろうと考えても仕方ないことを考えてしまいました。
10ページ以上に及ぶ著者のあとがきもぜひ、読んでください。本書も労作です!  (す)

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