ベスト 👍 ノンフィクション
『すずめばち』
舘野鴻 作
福音館書店 刊
2025年6月20日 発行
1870円(税込)
40ページ
対象:小学校中学年から

すずめばちの生命の物語

こちらに向かってくるすずめばちが描かれている表紙が大迫力です! 虫の苦手な人は「怖い!」と背すじがひゅっとしそうです。

『しでむし』『がろあむし』(偕成社)などの作品で知られる作家の最新刊。
これまでの本の繊細な描写の絵とは違って、ぐいぐいと筆を運んだタッチが対象となっているすずめばちとぴったりだと思いました。
そもそもご存じの方もあるかと思いますが、本書の絵は平塚にて公開制作されていました。その場の雰囲気、勢いがタッチに出ているのでしょう。ものすごく体力と気力を消耗しそう。

作者はまるですずめばちになったのか? としか思えないような構図で彼らの生態を描きます。本当にすずめばちになったのかもしれません(笑)。どうしたら、こんな姿の彼らを描けるのだろうと思いました。絵、ならではの真実でしょう。絵描きの凄みを感じます。

1匹のきいろすずめばちの女王が春、目覚めて腹ごしらえをした後、巣をつくります。そして、たくさんの卵をうみ、育てるさまを追います。女王はからだがぼろぼろになるまで、卵を産み続ける。1匹の女王にフォーカスしているせいか、なんだか彼女に感情移入していってしまう自分がいます。ちょっとびっくりです。
暑くなると蜂の巣の駆除、なんてニュースもよく耳にするようになりますが、はちも危害を加えようとしているわけではないのだ、という当たり前といえば当たり前のことを考えてしまいます。
自然との距離感なのかな~。

最初と最後の文字のないページの意味を考えさせられてしまいました。答えは「〇〇」と出るものではないと思いますが、一緒に考えてみませんか。 (す)

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