ベスト 👍 フィクション
『ちいさなクリスマスツリー』
アーシュラ・モリー・ウィリアムズ 作
尾崎愛子 訳
嶽まいこ 絵
岩波書店 刊
2025年10月 発行
1650円(税込)
62ページ
対象:小学校低学年から

ちいさなもみの木の大ぼうけん――クリスマスの心をつたえる、とっておきの絵物語

貧しい農夫が子どもたちのために森からクリスマスツリーにするための小さなもみの木を切ってきました。子どもたちが眠った後、夫婦はもみの木を鉢に植え、母親の焼いた茶色のクッキーで飾り付けをします。初めのうちはその出来栄えに満足していた二人ですが、きれいな飾り一つないことにだんだん残念な思いが募っていきます。二人のため息と嘆きの声を聴いていたもみの木は、夜になるとこっそり家を抜け出し、雪の森へと飾りを探しに出かけていきました。

小さな心優しいもみの木は、森の中で出会った者たちから、ダイヤモンド、赤いきのこ、輝くつらら、赤いろうそくなどのステキな飾りを手に入れていきます。けれども、そのたびに少しずつみどりの葉っぱを失くしていき、最後に天使たちから金色の星をもらった後には、すべての葉っぱを失くして丸裸になってしまったのです。小さな泉に映るボロボロのかかしのようにみじめな姿になった自分を見たもみの木は、恥ずかしさのあまりに「とても、うちへは帰れない!」と絶望します。そこへやって来たのは……。

貧しい一家―とりわけ子どもたち―のためにと、雪の森をかけていくもみの木。時には怖い思いもしますが、母親の飾った茶色いクッキーを守りながら一生懸命に飾りを集めていくけなげな姿に、読者はクリスマスの心を感じることでしょう。聖ニコラウスが与えてくれる本当の贈り物は、すでに小さなもみの木の心の中に宿っていたのでした。

お話は幼い子でも十分理解できるように、心地よい繰り返しのリズムをもっていることが特徴です。長いお話になれた子であれば、幼稚園の年長さんから小学校低学年でも読み聞かせることができそうです。(か)

★11月はナルニア国店内で刊行記念パネル展を開催中。尾崎さん・嶽さんのダブルサイン入り書籍も30冊限定で販売しています。

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