
ベスト 👍 フィクション
『奇妙でフシギな話ばかり』
ブルース・コウヴィル 作
金原瑞人 訳
橋賢亀(はしかつかめ) 絵
岩波書店 刊
2025年11月18日 発行
2200円(税込)
196ページ
対象:中学生から
ユーモアとホラーが交差し、幻想的な世界が織りなす、摩訶不思議な話ばかり!
こんなにおもしろい短編集は久しぶり! 一気に読んでしまいました。\(^o^)/
またすぐに再読したくなっています~。
翻訳者の金原さんが長年、あたためてきたという偏愛の物語です。何がどうって、うまく言語化できないけれど、金原さんが好きっていうかんじ、なんとなくわかります(笑)。
ちょっと怖いかんじとか、ふしぎな心地になる話など、タイトルの通り「奇妙でフシギな話」ばかりです!
天使から預かった箱を守る男の話(「天使の箱」)や、散らかし魔の女の子ジェイミーの話(「ぴっかぴかの部屋」←けっこう好き!)など9編を所収しています。どれも短いながらも、深い余韻を残し、感慨深さがあるものです。
個人的には特に「ダフィーのジャケット」「星条旗ーかつての栄光」が残りました。「星条旗」なんて、今の世相を表しているとしか思えない! 原著は1994年の刊行だから、預言書? ともいえる!? ま、それはそれとして文学の深さを感じます。本書のなかで唯一のSF作品ってのも異彩を放っていると言えるのかな。
でもわたしの一番は「群れを継ぐ」ですね。なんだか切なくて、涙があふれそうになりました。狼少年の孤独と運命の物語です。
と、金原さんに言ったら「好きな話がみんな違うんだよね」とのこと。
どれでも、ひとつでもお気に入りができるといいと思います。お気に入りをみつけてね!
ちなみに金原さんの推しは最後の「美しい最期」みたいです(これがいいよって、言われました)。もちろん、この話もよかった。これこそ余韻が深い。しみじみページを閉じるかんじです。
また、造本が美しいです。イラストがとてもいい! 繊細な描線がよく世界観をあらわしていると思いました。絵もお話と一緒に楽しんでほしいものです。
本が軽いのも、電車などで読むのに疲れなくて、いいですね。そういえば最近、軽い本が増えているかもしれません。(す)
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