
ベスト 👍 ノンフィクション(エッセイ)
『絵本と子どもと歩いた日々』
山脇百合子 著
のら書店編集部 編
のら書店 刊
2026年3月 発行
2200円(税込)
95ページ
対象:大人
生前、2018年にまとめられた貴重なメッセージに満ちた1冊
2022年に亡くなられた山脇百合子さんの初エッセイが刊行されました。のら書店の編集者が生前の山脇さんに丁寧な取材を行い、10年かけて作られた宝物のような1冊です。みんなが大好きな『ぐりとぐら』の画家・山脇百合子さんとはどんな方だったのか、そのまっすぐでチャーミングなお人柄が行間から立ち上ってくるようです。ご自身の幼い頃のことや、ご家族のこと、子どもの本の画家としての思いがフルカラーの挿絵と共に綴られていて、山脇さんの絵本のファンだけでなく、子育て中の親御さんにも響く内容になっています。
小さい頃のご自身を「ちょっとぼんやりしていて、おもしろいことが大好き」だったと振り返る山脇さん。絵を描くことや本を読むことが大好きで、5年生まで暮らした福島では美しい自然の中でのびのびと暮らしました。そのような体験と風景をしっかり心の中に刻んでいたからこそ、イラストの中にさりげなく描かれた小さな草木の姿までもが、単なる添え物ではない大切なお話一部として見えてくるのでしょう。また岩波少年文庫を愛読し、その魅力的な挿絵の数々から“子どもにわかる挿絵”を自然に学んだという山脇さんの言葉は、絵描きでありながら子どもの本(特に幼い子の文学)の書き方に対して的確な視点を持っていたことがうかがえます。実姉の中川李枝子さんとの著作が多いので「姉妹の息がぴったり」のように評されることも多かったようですが、山脇さん自身は「おもしろいお話さえあれば絵は描ける」「おもしろいと同時に、きちんとしていないとだめ」と語っています(ちなみに、中川李枝子さんのお話は読むとすぐに絵が思い浮かぶそうです)。
登場する動物は前に描いたことのある動物だったとしても必ず写生をしていたそうですし、自身の勝手な想像やあいまいなイメージで描くことをしなかったことからも、子どもの読者に対する真摯な姿勢が垣間見えます。かわいいと表される山脇さんのイラストですが、実はしっかりと対象(動物や植物・子ども)を観察して描いていたのです。
たくさんのお仕事を抱え、家族の面倒を見、その上やりたいこと(趣味)も多かった山脇さんですが、絵にも暮らし方にもキリキリしたところが一切なく、このおおらかさと安心感が多くの読者を惹き付ける理由ではないかと思います。短いエッセイの中に宝物のような言葉がいっぱいつまった本を、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
「せっかく生きてるんだったら、楽しいほうがいいじゃない。」「おとなも子どもも毎日が楽しくなくちゃ!」「特別なことをしてあげるより、子どもたちをただかわいがるって、やっぱり大切かもしれない」
本当にそうですね! (か)
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