ファージョン作品集は品切れになって長いのですが、こちらもしばらく品切れになっていた岩波少年文庫『ムギと王さま 本の小べや1』の後半の作品集『天国を出ていく 本の小べや2』が10月に復刊となりました。これでようやくハードカバー版と同じお話が文庫でも読めるようになってホッとしています。
本作はファージョンの短編集ですが、ここからお話を語る（ストーリーテリングをする）方も多いのではないでしょうか。「小さいお嬢さまのバラ」「ボタンインコ」「サン・フェアリー・アン」などは、語られるお話を聞くと文字で読む以上に豊かなイメージが聞き手の目前に現れてきて、ファージョンの表現力と石井桃子さんの日本語の美しさ・的確さに、改めて心打たれます。人が声に出して語るスピードは黙読には及びませんが、それだからこそ言葉の一つ一つがゆっくりと沁みてきて、読んだときには見落としてしまった表現の美しさに気がつくのでしょう。誰かに読んでもらうのが難しければ、ぜひ声に出して自分のために読み聞かせをしてはいかがでしょうか。きっと読書の秋にふさわしい素敵な時間が過ごせるはずです。
★エリナー・ファージョンが1957年に書いた詩の絵本『クリスマスのくつした』が、今年かわいらしい絵本になりました！ こちらはただいま翻訳者・画家のダブルサイン本を販売中です。ご希望の方はお早めにどうぞ(^_-)-☆
【復刊】『天国を出ていく 本の小べや2』エリナー・ファージョン作／石井桃子訳／岩波少年文庫 1155円（税込）
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