鳥の巣研究家で絵本作家の鈴木まもるさんの最新刊は『戦争をやめた人たち』(あすなろ書房)です。5月下旬に発売されましたが、ロシアのウクライナ侵攻のニュースを受けて話題となり、発売後すぐ重版がかかりました。ナルニア国では新刊で1冊入りましたが、その後しばらく品切れで本日ようやく重版(2刷り)分から10冊入荷しました。
この本は本当にあった出来事から生まれた絵本です。第1次世界大戦が始まった1914年の12月24日、塹壕の中で向かい合っていたイギリス兵とドイツ兵がこの日1日だけ休戦して、歌を歌い合い、一緒に食事をし、サッカーの試合をしたという奇跡のような実話をご存知でしょうか。児童文学ではマイケル・モーパーゴの『世界で一番の贈りもの』(評論社/1210円:税込)や、ジェームズ・リオーダンの『銃声のやんだ朝に』(徳間書店/品切れ)など、海外の作家がこの出来事を物語にしたものが、これまでにも日本にも紹介されてきました。鈴木さんは以前からこの本の出版を準備されていましたが、あとがきの絵を描いているときに現実に戦争がおこったという偶然に愕然とされたそうです。それでも「戦争をすることよりも強い、人の優しさと想像力が描きたくて、絵を完成させました」と記されています。
戦争を始めることを決めるのは、自分たちは決して前線には出ない国の指導者たちです。敵対する兵士同士が互いに銃を置いたクリスマス休戦はたった1日で終わり、その後この戦争は4年間も続きました。その間に、どれだけ多くの兵士が命を落としたことか――。一度始まった戦争を止めるのは容易なことではありません。私たちはその難しさを歴史から学んでいるはずです。だからこそ戦争は始めてはいけない、戦争をしたがる指導者を選んではいけないということではないでしょうか。

『戦争をやめた人たち 1914年のクリスマス休戦』鈴木まもる 文・絵/あすなろ書房 1650円(税込)

ナルニア国はこの新刊絵本を『エーリッヒ・ケストナー こわれた時代』刊行記念フェア平台で、『ウクライナ民話 てぶくろ』(福音館書店/1100円:税込)などと並べて置いています。ぜひお手に取ってご覧ください。
エーリッヒ・ケストナー』(偕成社/2750円:税込)は翻訳者のガンツェンミュラー文子さんのメッセージカード入り書籍も引き続き販売中です。もうすぐ販売数が100冊になります\(^o^)/ すごーい!

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