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1962年に「こどものとも」として刊行され、傑作集に入ってからもすでに50年がたった、かこさとしさんの科学絵本『かわ』。山の上の源流から大海に注ぎ込むまでの“川の一生”を描いたこの作品が、こどものとも60周年記念出版の一つとして新しく“絵巻じたて”となって登場しました。広げるとなんと7メートルにもなるそうです!

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この絵本のおもしろいところは、全部の絵が繋がっていることだけではありません。両面に絵があって片面はカラー、片面はモノクロになっています。カラーの面はテキストがなく、絵だけで構成されています。文字があるとついついそちらに意識がいってしまい、じっくり絵をみることをしませんが、こうやって絵だけで語られると「あれ? こんなところに、こんなものが描かれていたんだ!」と、新しいことが次々に見つかります。知っているはずの絵本がまったく別のものとして、驚くほど新鮮に感じられるのです。

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そして、ひっくり返してみると今度はモノクロのページが山から海まで繋がっていきます。ここにはおなじみのテキストも添えられていますが、秀逸なのはモノクロの画面のなかに、川(水)の色だけが薄いブルーに色づけされていること。カラーの時には気づかなかった一番初めの流れや山肌を流れ落ちる細い滝なども、くっきりと見えてきます。これも新しい絵本『かわ』の発見です!さらには、最終場面に2ページ分が追加されました。これぞ絵巻ならではの醍醐味!思わず感嘆の声があがるこの最終ページまでの長い長い川の旅を、ぜひ思う存分広げて、すみからすみまでじっくり見ていただきたいと思います。

『絵巻じたて ひろがるえほん かわ』かこさとし 作・絵/福音館書店 3000円+税
☆ただいま、こちらの本は品切れとなっています。次回の入荷予定は10月初めです。(9/15のあさイチの放送後、注文が殺到したそうです…