1987年に日本エディタースクール出版部から出て、子どもと本に関わる全ての人たちにとってとても大切な本となった松岡享子さんの『えほんのせかい こどものせかい』が、この度文春文庫の1冊に入りました。松岡さんは文庫版のあとがきに、当時の若いお母さんに向けて書いたこの本を今の若いお母さんがどんなふうに読むかわからないけれど「今、わたしが「若いおかあさん」たちに何かお話しするとしても、まったく同じことを、同じことばで申し上げるだろうと思いました。」と書いています。それは、折に触れてこの本を読み返してきた読者にとっては、非常に納得のいく言葉だと思います。それは私自身も読むたびに初心に立ち返り「そうだった!」と思うからです。30年前に書かれたものであっても内容は決して古びていません。文庫になったことで、この本がより広い層の読者に出会えること願っています。

『えほんのせかい こどものせかい』松岡享子著/文春文庫 680円+税
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