柿本幸造さんといえば『どうぞのいす』や「どんくまさん」シリーズなど、物語絵本の画家というイメージが強く、赤ちゃん絵本を描いていたというのは意外でした。この作品は学研の月刊絵本で1972年に発表されたものを再構成したものだそうです。
お話も絵もいたってシンプルで、らいおんのぼうやがいろいろな動物に会うというもの。ページには出会う動物の一部分しか見えていなくて「だあれかな? だあれかな?」という問いが繰り返されます。当たり前といえば当たり前ですが、これだけシンプルだと古くなりようがないのだと改めて感じます。柿本さんの絵はかわいらしく温かみがありますが、決してアニメチックにデフォルメしたものではありません。この誠実な絵の心地よさを小さい子たちに味わってほしいと思いました。
文章は、1980年生まれの若い絵本作家さんが、何度も推敲を重ねながら練り上げたものだそうですよ。

『どうぶつ だあれかな』かきもとこうぞう 絵/はせがわさとみ 文/学研プラス 900円+税