今月発売になった新刊絵本を2点ご紹介します。
1点は新刊というか復刊というか……しばらく品切れになっていたカリジェの『大雪』が新版として再刊されました。今回はスイス版の原書の色味を再現したということで、昔の版に比べて色がはっきりと美しくなっています。緑色の深みやピンクやオレンジといった色のあざやかさは「これがカリジェだったんだ!」と、嬉しくなるような仕上がりです。ーーソリに飾る毛糸の房を手に入れようと山の上の家から村まで出て行ったフルリーナは、大雪の中で遭難しかけてしまいます。フルリーナを助けてくれたのは色とりどりの房のある長い毛糸とあらしの木、そしてお兄さんのウルスリでした。
もう1冊は久しぶりに出たドーレア夫妻の絵本『オーロラの国の子どもたち』、こちらは本邦初訳です(原書は1935年出版)。北ヨーロッパに住むサーミの人たちを描いたこの絵本は、雪とトナカイと共に生きる暮らしが美しくも丁寧に描かれ、中でも人々の青い民族衣装が印象的です。文章はかなり長めなのでじっくり時間をかけて読んでください。どちらの絵本もクリスマスプレゼントにオススメです!


カリジェの絵本はもう1冊『ウルスリのすず』も復刊になっています。新規製版で色が美しくよみがえったこちらの作品もぜひお手にとってご覧ください。

『大雪』ゼリーナ・ヘンツ文/アロイス・カリジェ絵/生野幸吉訳/岩波書店 1800円+税
『ウルスリのすず』ゼリーナ・ヘンツ文/アロイス・カリジェ絵/大塚勇三訳/岩波書店 2000円+税
『オーロラの国の子どもたち』イングリとエドガー・パーリン・ドーレア作/かみじょうゆみこ訳/福音館書店 1500円+税