この本の元の本をご存知の方がいたら、それはかなりの熱心な児童書&絵本ファンに違いありません(かくいう私は知りませんでした…)。本書は1990年に刊行された『素直にわがまま』(偕成社)を基にした復刊で、それは1987年~1990年にかけて絵本雑誌MOE紙上で行われたリレー対談をまとめたものだったそうです。リレー対談とはその名称の通り、対談者が次々につながっていくのですが、何とも豪華で驚くような対談です。初回が長新太さん×五味太郎さん、次が五味太郎さん×林明子さん……。他にも糸井重里さん×高橋源一郎さんや、岸田今日子さん×スズキコージさん、佐野洋子さん×沢野ひとしさん、田中和雄さん×江國香織さんなどなど。

復刊によせて、編集者でこのリレー対談の司会をなさった松田素子さんがこう書いています。「時代は変わり、子どもを取りまく状況も一変しています。(中略)その視点に立てば、二十八年も前の対談集の復刊にどんな意味があるのかと思われるかもしれません。でも、私は信じます。だからこそこの本は、「いま」という時代の地図を、むしろ容赦なく照らし出すだろうということーー。」
松田さん自身がここで語られた数々の言葉を“羅針盤”にしてこられたという対談集。ぜひこの復刊を機会に多くの方に手にとっていただきたいと思っています。

『対談集 絵本のこと 話そうか』松田素子・編/KTC中央出版(アノニマ・スタジオ)/1900円+税